2002年頃、デジタルX線装置が成熟期を迎え、インプラント治療が普及し、歯科用CTが注目され始めました。歯科業界でもCTがリリースされ、当社もイタリアQR社製歯科用CT“ニュートム”の輸入販売を開始しましたが、「どうしても自分たちの手でCTを開発したい!」との考えから開発に着手。開発コードを“P-17D”とし、要求仕様を「完成時に時代の最先端を行くもの」と位置づけました。特に「高精細・高品質の画像」、センサーにFPDを使用し「パノラマレントゲンを一回り大きくした程度の軽量コンパクトさ」、「パノラマと変わらない撮影時間と超高速の再構成処理時間」を目指しました。
2006年、3年余りを費やしてP-17Dは「ファインキューブ」という正式名で製造販売の認証を受けたのです。
インプラントや親知らずの抜歯、耳鼻科領域にも応用でき、三次元の高画質画像を用いることで、断層方式パノラマX線写真や口内法X線撮影法では判別できない、症状の原因の究明に役立ちます。
撮影後、スピーディーに画像が表示され、すぐに診断や説明を行うことができます。
高精細な3D画像を用いて患者さんによりわかりやすい説明が可能に。患者さんと一緒に歯の状態をチェックすることで、先生と患者さんの円滑なコミュニケーションを実現します。
また、コンパクトなボディは患者さんへの圧迫感を排除すると共に、診療空間の有効利用へとつながります。
既存の歯科用CTに比べ、より精細で、より使いやすいCTを先生方に提供できないかという考えから『ファインキューブ』が誕生しました。
○撮影範囲とモード選択で、診査・診断、治療の方向性に合わせた撮影が可能に
○ガイドラインとリンクしたナビゲーション画面で患者さんの位置を確認しながら正確に位置付け
○3D画像を自由に動かすことができ、骨の形状を容易に把握できます
これらを実現するために、回転モータをどう選んだらいいのか、制御はどうするのか、X線管は何を選択すべきなのか、FPDを選ぶ基準は何か、支柱はどう作ってどの程度の剛性を保持すべきなのか…ほとんどゼロからの出発で、何を基準にどう進めるのが最短コースなのか、開発者は常に難しい判断をせまられました。